2022年10月、日本政府は現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替える方針を正式に発表しました。
それに加えて河野太郎デジタル相は、マイナンバーカードに運転免許証の機能を持たせる「マイナ免許証」の導入(2024年度末導入予定)も前倒しできないかを検討しています。
これにより、これまで多くの人が財布に所持していた健康保険証と運転免許証のカードが、1枚のマイナンバーカードに統合されるので、より便利にミニ財布を使うことが出来るようになります。
そこで本記事では、マイナンバーカードとその便利機能ついて、ご紹介したいと思います。
マイナンバーカードとは
総務省のHPによると、マイナンバーカードは、本人の申請により交付され、個人番号を証明する書類や本人確認の際の公的な本人確認書類として利用することができます。
また、住民票の写しや戸籍証明書の発行など行政サービスを受けることができるICカードにもなります。交付手数料は、当面の間無料です。(本人の責による再発行の場合を除く)
そしてマイナンバーカード表面には、以下の情報が記載されています。
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- 性別
- 顔写真
- 電子証明書の有効期限の記載欄
- セキュリティコード
- サインパネル領域(券面の情報に修正が生じた場合、その新しい情報を記載(引越した際の新住所など))
- 臓器提供意思表示欄
気を付けるポイント
裏面には、個人番号が記載されます。この個人番号をコピー・保管できる事業者は、行政機関や雇用主等、法令に規定された者に限定されています。
したがって、規定されていない事業者の窓口において、個人番号が記載されているカードの裏面をコピー・保管されないよう気を付けなければなりません。
マイナンバー導入の目的
総務省のHPによれば、マイナンバー制度は「国民の利便性の向上」「行政の効率化」「公平・公正な社会の実現」のための社会基盤だと言われています。もう少し具体的に見ていきます。
国民の利便性の向上
これまで、市区町村役場、税務署、社会保険事務所など複数の機関を回って書類を入手し、提出するということがありました。
マイナンバー制度の導入後は、社会保障・税関系の申請時に、課税証明書などの添付書類が削減されるなど、面倒な手続きが簡単になります。
また、本人や家族が受けられるサービスの情報のお知らせを受け取ることも可能になる予定です。
行政の効率化
マイナンバー制度の導入後は、国や地方公共団体等での手続きで、個人番号の提示、申請書への記載などが求められます。
国や地方公共団体の間で情報連携が始まると、これまで相当な時間がかかっていた情報の照合、転記等に要する時間・労力が大幅に削減され、手続きが正確でスムーズになります。
公平・公正な社会の実現
国民の所得状況等が把握しやすくなり、税や社会保障の負担を不当に免れることや不正受給の防止、さらに本当に困っている方へのきめ細かな支援が可能になります。
マイナンバーカードの便利機能
マイナンバーカードには便利な機能や、期間限定でお得なキャンペーンを実施しているので、それらについてご紹介していきます。
健康保険証のデジタル化
河野太郎デジタル相が、先述したマイナンバーカード導入の目的達成の為、健康保険証を2024年秋に原則廃止し、マイナンバーカードを事実上義務化すると表明しました。
まずは、どんなメリット・デメリットがあるかを理解することが大切です。
➥ メリット
健康保険組合などが変わっても継続して使用できる就職や転職時に保険者(国民健康保険組合、健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合等)が変わっても、継続して健康保険証として利用することができます。
例えば、従来の健康保険証であれば、転職後、①保険者への異動届けと②健康保険証の発行期間により、一時的に手元に健康保険証がないということがありました。
しかしマイナンバーカードの場合、①保険者への異動届けだけで、すぐに保険証として利用することができます。
マイナポータル(マイナンバーカードの登録情報を確認できるオンラインサービス)で、自分の薬剤情報や健診情報の閲覧ができるようになります。
これは自身の健康管理に役立てるだけでなく、所得税と住民税の節税対策として必要な「医療費控除」を、マイナポータルから簡単に自動入力できるようになります。
引越しなどで、新しい病院の医師に改めて自身の過去の病気や症状を説明するのに嫌気をさしたことはありませんか?
被保険者(本人)の同意がある場合に限って、過去の健診内容や処方された薬の情報を医師や薬剤師に共有することができます。
これまでマイナンバーカードと健康保険証の2枚を所持していなければなりませんでしたが、マイナンバーカードに健康保険証を一体化させることで、1枚のカード所持で済むようになります。
その結果、普段から持ち歩く財布の中もすっきりしやすくなるでしょう。
➥ デメリット
いくつかの医療機関または薬局では使えない2022年時点では、マイナンバーカード保険証を利用できる医療機関、または薬局店舗が少ない為、皆さんが通ってる病院や薬局が対応しているかどうか確認しましょう。
いずれにしても2024年秋までには、全ての病院や薬局で導入されると思いますが、それまでは少し不便に感じるかもしれません。
紛失した時の「個人情報の漏洩リスク」があります。もちろん従来の健康保険証でも個人情報漏洩のリスクはあるので同じことだと言えます。
しかしながら、デジタル庁もしっかりとした対策を実施しているようです。デジタル庁のHPにあるQ&Aからいくつか抜粋していきたいと思います。
質問)
マイナンバーカード(個人番号カード)のICチップから医療(病歴、投薬等)情報まで筒抜けになってしまうことはないですか。
回答)
マイナンバーカードのICチップには、税・年金の情報や病歴などプライバシー性の高い情報は記録されませんので、それらの情報はカードからは判明しません。記録される情報は、券面に記載されている情報や公的個人認証の電子証明書等に限られています。
質問)
マイナンバーも漏えいする場合があるのではないですか。
回答)
マイナンバー制度では、制度・システム両面で様々な安全管理措置を講じています。 具体的には、そもそもマイナンバーのみでは手続きができないようにしているほか、情報の分散管理やシステムへのアクセス制御、通信の暗号化などを行います。
さらに、独立性の高い第三者機関(個人情報保護委員会)が監視・監督を行い、故意にマイナンバーを含む個人情報を提供などすれば、厳しい罰則を適用します。
運転免許証のデジタル化
2022年3月、運転免許証とマイナンバーカードの一体化させる「マイナ免許証」実現に向け、道路交通法の改正案が閣議決定されました。現時点では、2024年度末の運用を目指しております。
さらに2022年10月、河野太郎デジタル相は、このマイナ免許証の導入(2024年度末導入予定)を前倒しできないかを検討しているとのことでした。
具体的には、従来の運転免許証に記載されている以下の情報をマイナンバーカードのICチップに記録するというものです。
- 12桁の免許番号
- 有効期限
- 姓名
- 生年月日
- 交付年月日
- 免許の種類
- 本籍
マイナ保険証ほど具体的な案が出てきていませんが、現時点で分かっているメリット・デメリットについて見ていきたいと思います。
➥ メリット
運転免許証を持ち歩く必要がなくなるこれまでマイナンバーカードと運転免許証の2枚を所持していなければなりませんでしたが、マイナンバーカードに運転免許証を一体化させることで、1枚のカード所持で済むようになります。
さらに健康保険証も一体化させてしまえば、3枚から1枚に集約できます。普段から持ち歩く財布の中が、よりすっきりするのでミニ財布もより使いやすくなるでしょう。
引っ越した時には、住所変更手続きだけでなく、運転免許証の住所変更手続きも必要です。これは意外と億劫ですよね。
しかしマイナンバーカードと一体化させることで、マイナンバーカードの住所変更手続きを行えば、運転免許証の住所変更手続きは不要となります。
➥ デメリット
情報漏洩のリスクがあるマイナ保険証と同じく、個人情報漏洩のリスクがあります。この個人情報漏洩のリスクについては、マイナンバーカードの運用が開始されてから常に指摘されており、マイナンバーカードの普及率に大きく影響しています。
ただし、従来の運転免許証も同じく情報漏洩のリスクがあるので、そんなに大きなリスクの差異はないと個人的には考えています。
基本的にマイナンバーカードの再交付申請から再交付まで、約1か月の期間がかかると言われています。
従来の運転免許証の場合、運転免許試験場や運転免許センターで手続きをすれば、約1時間で再発行してもらえます。たとえ警察署など普段免許証を発行していない場所だとしても、手続き後、再発行されるまで2週間程度の時間で済みます。
そう考えると、マイナ免許証の再発行に約1か月かかるのは長く、その期間運転できないのは普段の生活が不便になるかもしれません。
これに関しては、デジタル庁の改善案が必要となってくるでしょう。
最大2万円のポイント還元
現在マイナンバーカードの取得、そしてある機能を登録すると最大で20,000円分のマイナポイントを獲得できます。具体的なポイント取得方法を、以下に記します。
➥ 1. マイナンバーカードの新規取得
獲得ポイント:5,000円分
対象者:新規でマイナンバーカードを取得する方
応募方法:
マイナンバーカードを取得後、クレジットカードなどの電子マネー決済を連携させます。
そして、(クレジットカードであれば)20,000円分のお買い物、または(電子マネーであれば)20,000円分のチャージをすることで、ご利用金額の25%のマイナポイント(上限5,000円分)を、連携させたキャッシュレス決済サービス先で受け取ることができます。
例えば、Suicaを連携させた場合、Suicaのポイントとして5,000円分付与されます。別記事「おすすめキャッシュレス決済アプリ5選」もあわせてご覧くださいませ。
マイナンバーカードの申込み期限:2023年2月末
マイナポイント申込み期限:2023年5月末
※カード申請用のサイトがダウンするなど想定以上に申請が集中したため、カードの発行が間に合わないケースがあるとして申し込み期限をさらに延長する方向で調整とのこと。
➥ 2. マイナ保険証の利用申込み
獲得ポイント:7,500円分
対象者:マイナ保険証の申込者
応募方法:
マイナポータルから申し込むことができます。マイナポイントの申込みが完了すると、マイナポイントを受け取ることができます。
マイナポイント申込み期限:2023年2月末
➥ 3. 公金受取口座の登録
獲得ポイント:7,500円分
対象者:公金受取口座の申込者
応募方法:
マイナポータルから申し込むことができます。ご自身の預貯金口座を国(デジタル庁)に登録が完了すると、マイナポイントを受け取ることができます。
マイナポイント申込み期限:2023年2月末
マイナンバーカードのセキュリティ対策
総務省HPによると、万全なマイナンバーカードのセキュリティ対策が実施されています。
ICチップ内の情報
マイナンバーカードのICチップ内には、「公的個人認証AP」「券面事項確認AP」「券面入力補助AP」「住基ネットAP」の4つのアプリケーションと、市町村等の行政機関が独自サービスを行うための空き領域があります。
これらの中には、必要最低限の情報のみが記録され、税情報や年金給付情報等、プライバシー性の高い個人情報は記録されません。
アクセス権の制御
ICチップ内の各アプリケーション間は「アプリケーションファイアウォール」により独立しており、アプリケーションごとに条件や暗証番号等のアクセス権情報を設定することにより、各サービス用システムから異なるアプリケーションへのアクセスを制御しています。
暗証番号
アプリケーション毎に異なる暗証番号を設定して情報を保護し、また暗証番号の入力を一定回数以上間違えるとカードがロックされる仕組みとなっています。
耐タンパー性
耐タンパー性とは、ICチップ内の情報が不正に読み出されたり、解析されようとした場合、自動的に内容が消去される等の対抗措置が講じられる性質のことです。
マイナンバーカードのICチップは、こうした偽造目的の不正行為に対する耐タンパー性を有しており、高いセキュリティ性を確保しています。
ISO/IEC15408認証
ISO/IEC15408認証とは、コンピュータシステムや製品のセキュリティ機能の評価を行うための国際標準です。これを取得することにより、IT製品として必要なセキュリティ機能要件が備わっていることが証明されます。
マイナンバーカードは、このISO/IEC15408認証を取得することとしています。
その他、レーザーエングレーブやマイクロ文字など、券面の偽変造を防止するためのセキュリティ加工も施されています。
財布をコンパクトにしよう
いかがでしたでしょうか?マイナンバーカードについて理解を深めながら、マイナンバーカードの便利機能をご紹介してきました。
政府の思惑を理解しつつ、自分にとっても有益であると考える方は、ぜひマイナンバーカードの作成、または健康保険証や運転免許証(未実施)の一元化を検討してみて下さい。
そうすることで、既にミニ財布を使用している方、もしくは今後ミニ財布を検討されている方にとっても、収納カードがミニマル化されるので、よりミニ財布の使い勝手が良くなることでしょう。
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