キャッシュレス決済は、経費精算のレシートを電子データとして保管できるだけでなく、フィリピンペソへの両替をせずに済むので無駄な手数料がかからず便利です。
そこで当記事では、こんな疑問を解決します。
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フィリピンの物価、現金事情を学びたい。
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マニラでのキャッシュレス決済の長所、短所を知りたい。
- 通貨フィリピンペソを所持せずにマニラへ出張したい。
本記事の信頼性
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執筆者は、毎月東南アジア圏へ約5日間の出張。
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これまでに海外出張した国、合計6ヵ国13都市以上。
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フィリピン海外出張、合計3回。
1. フィリピンの物価事情について
近年、著しい経済成長を遂げているフィリピンですが、日本の物価と比べると約1/3と言われています。例えばタバコが65ペソ(約159円)、ビール30ペソ(約74円)といった感じです。現地のローカルレストランや屋台なども、現地の方の所得に応じた価格設定がされている為、1食数百円程度で済みます。
一方でグローバルに展開する大手ファストフード店、外国資本のカフェやレストラン、そしてホテルなどは、日本のそれと比べても値段は変わりません。何故なら、これらのターゲット顧客層は、現地の人々ではなく、海外からの外国人だからです。
ですから、出張で行かれる日本人が食事する場所や宿泊先の場合、あまり安いと感じる機会は無いかもしれません。
2. フィリピンの現金事情について
PwCが発表したレポート「Global Consumer Insights Survey 2019」によると、フィリピンのキャッシュレス決済比率は45%と言われています。2021年日本のキャッシュレス決済比率32.5%と比較しても、高水準にあると言えるでしょう。
では何故、フィリピンではキャッシュレス決済が普及したのでしょうか?それを知る為には、まずフィリピンにおける現金事情について把握しなければなりません。
フィリピンの通貨
フィリピンで使用される通貨は、フィリピンペソ(PHP)と呼ばれています。(2022年11月時点:1.0 PHP = 約2.44円)
PHPの紙幣は20、50、100、200、500、1,000ペソの6種類があり、PHPの硬貨は1、2、5、10ペソ、さらに1ペソより小さい1、5、10、25センタボがあるので合計8種類になります。紙幣と硬貨を合わせると、計14種類にもなります。
一方、日本円は紙幣が3種類、硬貨が6種類の計9種類なので、より多くの紙幣や硬貨を持つ通貨であることがわかります。
このようにフィリピンペソ通貨の種類が多く煩わしいことも、キャッシュレス決済が普及している要因であると考えられるでしょう。
低い銀行口座保有率25.1%
フィリピン統計庁によれば、2021年の世帯平均の名目所得(推定値)が30万7,190ペソ(約73万2,700円)と発表されました。物価が安いとはいえ年間約73万円では、まだまだゆとりのある生活を送るには難しいのが現状です。
そのため貯蓄に回すお金がなく、フィリピンでは銀行口座の取得率が低い状況にあります。事実、日本貿易振興機構(JETRO)のフィリピンに関するレポート「貯蓄世帯が2014年の調査開始以降最高の37.5%、銀行口座保有率は25.1%」(2019年9月)によると、フィリピンの成人の銀行口座保有率は25.1%という統計結果が出ています。
一方、決済アプリなら銀行口座の登録が必要ないため、キャッシュレス決済利用者がフィリピンでは増えているというわけです。
3. キャッシュレス決済の長所と短所
ここではフィリピン(主にマニラ)におけるキャッシュレス決済の普及が、日本人出張者や旅行者にとって、どのような長所や短所があるのかをお伝えしていきます。
キャッシュレス決済の長所(メリット)
➥ 現金を持たずに済む
現金を持たずにキャッシュレス決済にしていれば、万が一スリや強盗にあっても、被害を最小限に抑える事ができるでしょう。
先述したようにフィリピン人の世帯平均の所得は高くなく、特にフィリピンの貧困層にとって、海外から訪れる外国人が所持する金額は、相当な価値に値します。
ですから、スーツや身なりの良い服を着ている外国人が、スリや強盗といった事件に巻き込まれることが多々発生しています。
現金を持っていなければ、取られるものもないので安心です。
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➥ ポイント還元を享受できる
クレジットカード決済によって、ポイント還元を受けることができます。貯めたポイントを、航空会社が提供するマイルに移行することができるクレジットカードもあります。
マイルは航空券の代金を支払うのに使えたり、席をアップグレードできたり、ホテル宿泊代にも利用できたりします。
頻繁に海外出張がある方は、マイルを貯められるだけでなく、利用付帯で海外旅行保険が利用できるエポスカード(発行会社:丸井)決済がオススメです。
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➥ お金の管理がしやすくなる
全てのレシートや領収書をなくさないように保管する煩わしさから解放され、海外出張後の経費精算が楽になります。
ホテルの宿泊、航空券、接待、そしてタクシー利用の支払いをキャッシュレス決済にすることで、決済履歴をデータで管理することができるようになるので、管理工数や計算ミスを減らすことができます。
➥ 支払いを素早く済ますことが出来る
レストランなどのお店で、サクッと支払いを済ませることができます。
現金での支払いだと、端数を小銭で支払えると思って小銭ポケットを探したけど、結局いくらか足りなかったとかで、紙幣での支払いに切り替えたことってありませんか?
キャッシュレス決済であれば、これらの心配をする必要もなく、大切な接待の時でもスピーディー、かつスマートに支払うことができます。
➥ 現金に触れずに決済が可能
お財布に小銭や紙幣を収納していくと、お財布の中が汚れていくのを経験したことはありませんか?あれは、小銭や紙幣の汚れがお財布についてしまったものです。
現金は多くの人に触れられ、流通していますので、その分汚れも付着しているのです。キャッシュレス化が進めば、現金に触れる機会を減らすことができるので、衛生面においても優れています。
それに加えて、新型コロナウイルスやインフルエンザ感染予防も期待できます。
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キャッシュレス決済の短所(デメリット)
キャッシュレス決済によるメリットが多くある一方で、いくつかのデメリットもあります。事前にデメリットを把握しておき、トラブルのリスクを軽減させることが大切です。
➥ チップを渡すことが出来ない
現金を持っていないと、チップを渡すことができません。
しかし一般的に、フィリピンのホテルやレストランでは、サービス料込みの料金体系になっていることが多く、チップ文化はそこまで根付いているわけではありません。
とは言いつつも、重要顧客との接待で行くゴルフ場のキャディーさん、タクシードライバー、そしてバーやラウンジで働く女性にチップを渡す機会もないわけではありません。
そんな時に現金を持っていないと、少し不便に感じるかもしれません。
➥ フィッシング詐欺のリスク
フィッシング詐欺とは、インターネットを利用する人から、お金を得るためにクレジットカード情報や銀行口座情報を騙し取る手口の犯罪です。
例えば、公共USBポートやフリーWi-Fiからの情報流出で得たメールアドレス宛に、偽サイトに誘導するためのメールを送ってきます。
その偽サイトというのが、本物のサイトと区別がつかないほど巧妙に作られていることもあり、一目では詐欺であると判別できないケースが増えてきています。
そして偽物のサイトと気づかずクレジットカード番号や口座番号を入力してしまえば、お金を奪われてしまいます。
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➥ スキミング被害のリスク
スキミングとは、カードの情報を読み取る装置(スキマー)で、他人のクレジットカードやキャッシュカードから情報を抜き取ることを言います。そしてその情報を基にして、偽造カードを作り、現金を不正に引き出される恐れがあります。
出張者や旅行者が主に使用するキャッシュレス決済方法のクレジットカードは、接触型でICチップが埋め込まれております。このICチップ内に保存されているデータは暗号化されているので、スキミング被害に遭いづらいとされています。ぜひICチップが埋め込まれたクレジットカードを利用しましょう。
それに加えて、スキマーを使ってカード情報が抜き取られないように、クレカ決済の時は自分の目の前で会計を済ませてもらうようにしましょう。
現金派の方向け
4. 実際にキャッシュレス決済状況を確かめてみた
今回、フィリピンの現金事情、そしてフィリピンにおけるキャッシュレス決済のメリット&デメリットを事前に勉強して、実際にキャッシュレス決済のみでマニラ近辺の出張を実現できるか確認してきました。
宿泊編
基本的にオンラインサイトでのホテル予約は、クレジット決済が可能ですので、海外出張前には、忘れずホテルの予約もしておきましょう。そして、出張時のホテル予約で大切なことが二つあります。
一つ目は、訪問先または会食する場所に近いホテルを予約することです。マニラでは、交通渋滞が常態化しています。渋滞によるトラブルを避けるためにも、目的地に近い場所を予約しましょう。
二つ目は、4/5以上のレビュー評価を得ているホテルにしましょう。いくら写真で良く思えても、実際に宿泊してみたら狭かったり、清潔感がなかったりします。レビューはかなり信頼性が高いので、レビューを確認しながら予約してみて下さい。
私のオススメは、ワンランク上の出張プランが可能なオンライン旅行サイトTrip.comです。詳しくは以下の関連記事をご覧ください。
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⇓ 実際に宿泊したホテル
今回マニラで古くから格式あるホテルとして有名なThe Manila Hotelに宿泊しました。ただし、よく接待に使用されるリトル東京エリアから車で約30分と少し離れているので、接待がある場合は少し不便だと感じました。
クラシックな家具やデザインを基調としたお部屋でした。それに加えて、しっかりと部屋の清潔感が保たれており、快適に過ごすことができました。
朝6時から利用できるビュッフェ形式の朝食でした。フィリピン料理から、中華、洋食と幅広い料理があり、味も大満足でした。
歯ブラシ、シャンプー、ボディーソープ、ドライヤー、アイロンといったアメニティ全般が揃っていました。
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交通編
➥ 航空券の購入
航空券においても、旅行予約サービス会社Trip.comの携帯アプリを使ったフライトスケジュールの一元管理がオススメです。チェックインカウンターで旅程表の提示を求められても、携帯アプリで見せることができます。
旅費精算の時でも電子データとして領収書を発行できるのも、出張者にとって嬉しい点です。もちろんキャッシュレス決済であるクレジットカードでお支払い可能です。
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⇓ 実際に予約したフライト
今回は、バンコクからマニラ行きの航空券を購入しました。上の旅程表をPDFデータとして、いつでも出力できるのが便利です。
⇓ スマートフォンアプリが便利
Trip.comの携帯アプリを使ったフライト&宿泊スケジュールの一元管理が、本当にオススメです。管理画面を開くと、上写真のように旅程情報が把握できるようになっています。
それに加えて役立つツールが、赤枠で囲んだ部分の出張(旅行)プラン情報で、以下のことが把握できるようになっています。
- 往路便スケジュール
- 予約便についての重要なお知らせ
- 復路便スケジュール
- 運航状況(往・復路)
- Trip.com独自の旅行チェックリスト
- 最新の出入国制限の表示
- 現地ツアー&チケット情報
- 現地のレンタカー情報
- 各空港への送迎サービス情報
- 現地の人気スポット
これらの情報を携帯アプリの中だけで把握することが出来るので、情報整理が苦手な方でも、安心して出張することができます。
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➥ タクシーの利用
フィリピンのマニラでは、Grabタクシー配車サービスが便利です。この配車サービスとは、利用者がスマートフォンのアプリを使って、企業タクシーや個人タクシーを呼べるサービスです。
マニラ中心市街であれば、比較的すぐにピックアップできます。配車サービスはいくつかの種類がありますが、Grabサービスの普及率が高く、より便利です。
ただし治安が良くない場所、または中心市街から離れた郊外(理由:タクシーが見つからない為)に向かう場合、運転手付きのレンタカーを事前予約しておくことをオススメします。
今回の出張では、お客様訪問時には、運転手付きレンタカーを利用し、最終日にホテルから空港に向かう際に、Grabタクシーを利用しました。
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食事編
➥ レストランでの食事
この度はお客様の要望ということもあり、マカティで人気の高い日本料理店「Wagyu マニラ」に行ってきました。
当日は個室を利用することができず、半個室テーブルを利用しました。店内のテーブル数は多くなく、顧客層も上流階級のフィリピン人、もしくは日本人のようで、静かな雰囲気の中食事を楽しむことができました。
合計3名での会計が9,669ペソ(約23,790円)でした。もちろんクレジットカード決済可能でした。スキミング被害もなく、無事終えることができました。
➥ カラオケの利用
夕食後にお客様と訪れる場所と言えば、カラオケではないでしょうか?東南アジア地域での接待にはよくあることです。
今回は事前にお客様の行きつけを伺い、そこへ向かいました。お客様の行きつけということもあり、スキミングの心配はないと考えましたが、クレジットカードの決済は目の前で行ってもらいました。
お土産編
無事に海外出張を終え、帰国時に忘れてはならないのが、家族へのお土産です。私の妻はコーヒーが好きなので、ニノイ・アキノ国際空港内にあるお土産店でフィリピン産のコーヒーを購入しました。
お会計はもちろんクレジットカード決済を利用しました。
最後に
フィリピンのマニラでは、キャッシュレス決済が普及していることもあり、現金を持たずして海外出張を実現することができます。
一方でキャッシュレス決済によるデメリットもあるので、それらを踏まえながら快適なキャッシュレス海外出張を実現されてみて下さい。
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